聖研の学び「キリスト伝-3 降誕」

2017/1/18-19

テキスト 金井信生 牧師

聖 書  ルカ2章1節〜20節より


メッセージ要旨


主イエスの降誕からナザレに住まわれるまでの順序は、次のように推定されます。①降誕(ルカ2:1−8) ②羊飼いの訪問(2:9−20) ③割礼・命名(8日目 2:21) ④聖別(40日目 2:22−38) ⑤博士の訪問(マタイ2:1−12) ⑥エジプト避難(2:13−18) ⑦ユダヤへの帰還・ナザレへ(2:19−23)

 

1.降誕(ルカ2:1−7

 主イエスの降誕は、歴史的にローマ初代皇帝アウグスト、またシリヤ州総督クレニオ(さらにマタイによればユダヤ王ヘロデ)の時代に起りました。当時の記録や状況などを総合すると、紀元前5年の秋から4年の春の間と考えられています。

 

 日付について、後に東方教会ギリシャ)では1月6日、西方教会ローマ)では12月25日にクリスマスを祝うようになりますが、正確にはわかっていません。羊飼いは真冬には野宿しなかったという意見もありますが、ベツレヘム近郊に限ってはエルサレム神殿の犠牲に用いるために、一年中、羊は野で飼われていたという説もあります。

 

 いずれにしても、福音書はキリストの誕生が歴史的事実であることと、「いつ生れたか」よりも「今共におられる主」を伝えるために記されました。またキリストの降誕によって世界の歴史が紀元前後に二分されるように、キリストを主と信じ受け入れることによって、私たちは救われた新しい生涯に導かれてゆくのです。

 

 お生れになったイエス・キリストは、「飼い葉おけの中に」寝かされました。「客間には彼らのいる余地がなかったから」です。

 

 降誕劇では、ヨセフが宿屋を尋ねる場面がありますが、人口約2000人と推定されるベツレヘムの村に、宿屋があったかどうかはわかりません。むしろ同じくエルサレム近郊にあったベタニヤで、イエス様と弟子たちがマルタとマリヤの家に宿られたように、ヨセフも親戚の家をはじめ、一軒一軒尋ね回ったのかもしれません。

 

 丘陵地にあるベツレヘムには、岩陰が深くなっている洞窟がそこここにあり、家畜小屋として、また住まいとしても用いられていました。おそらく主イエスはそのような所でお生れになったのでしょう。古代のこと、寒村のこととはいえ、あまりにも乏しい中でのお生れでした。謙遜の限りを尽くし、私たちの貧しさを身に負って救うための、神の愛の表れです。そして、貧しい身分の羊飼いでも訪ねることのできたのが家畜小屋でした。

 

2.羊飼いの訪問(ルカ2:8−20

 主イエス・キリストの誕生された夜、野宿をしながら羊の群れの番をしていた羊飼いたちに御使が現れ、救い主がお生まれになったと告げました。御使の言葉は、「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。」と、キリストの誕生を喜びの知らせとして伝えています。

 

 羊飼いたちも、メシヤを待ち望む信仰はもっていたでしょう。ただ、その救世主がエルサレムで宗教改革をするのか、ローマと戦ってユダヤを解放し、王となるのか、どちらにしても自分たちには縁の遠いことと思っていました。しかし御使の言葉は「あなたがたに伝える」と、名指しで招くものでした。羊飼いたちはその知らせに直ちにこたえてベツレヘムに向かい、イエス様にお目にかかることができ、喜んで帰って行きました。地上のものではない、神様だけが与えることのできる喜びを得たからです。

 

 羊飼いたちが喜びを得たのは、神様の御言を素直に信じ、行動したからです。ルカがこれまで記すように、神様は野宿する貧しい羊飼いに最初の喜びの知らせを届けるために、世界の歴史を導き、ローマの皇帝の心までも動かされました。数百年の沈黙を破って、エルサレムの祭司に、またナザレの若い夫婦に語りかけられました。

 

 もちろん羊飼いたちは、その後にキリストによって救われていく多くの人々のたまたま先頭にいるだけです。しかし、神様がひとりの人を愛して全力で救いのみわざをなされることを、最初に受け止めました。そしてベツレヘムに御子がお生れになったことを、父なる神様が隠しておけず、御使を遣わして知らされたように、羊飼いたちもキリストにお出会いした喜びを、他の人たちに伝えずにはおれない、最初のキリストの証人となりました。


賛美 新聖歌66